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<口蹄疫>「宮崎牛どうなる」 感染地域3割超す(毎日新聞)
宮崎県の口蹄疫(こうていえき)問題は10日、新たに宮崎、日向市で感染疑いの家畜が見つかり、感染はいっこうに終息する気配がない。都城市と隣接する鹿児島県をはじめ、他県の関係者も感染拡大への不安を募らせている。
宮崎県内26市町村のうち、感染農家が出ているのは4市5町(終息したえびの市を除く)。県全体の面積の32%に達した。
「終息に向かうと思っていたが、吹き飛んだ。宮崎の牛はどうなってしまうのか」。この日、口蹄疫特有の症状を示す家畜が見つかった西都市。厳重な防疫態勢を敷いていただけに、JA西都職員はショックを隠さない。
西都市は、県が宮崎牛ブランドの復興を託すエース級種牛5頭の避難先。畜舎は今回疑い例が見つかった農場から20キロ以上離れており、感染の可能性は低いとみられる。
日向市は10日の対策本部会議で、11日未明までに発生農場内での埋却地の掘削を終え、60人態勢で349頭の牛の殺処分と埋却をすることを決めた。黒木健二市長は「断腸の思いだが、早急に手を打ちたい」と述べた。発生農家から3キロの場所に農場を持つ日向市和牛改良組合会長の黒木豊喜さん(56)は「ワクチン接種だけは勘弁してほしい」。
宮崎市も11日中に殺処分から埋却までの全作業を終える方針。児玉稔・現地対策副本部長は「ついに来たか、という感じだ。職員も動揺している。今は迅速に処分することだけを考えている」と険しい表情を見せた。
宮崎市の畜産農家で殺処分されたエース級種牛「忠富士」の育ての親、川越忠次さん(52)は「宮崎市は人家が多く、まん延すれば埋却地の確保も難しい。何としても1軒で収まってほしい」と語った。【小原擁、木元六男、阿部周一】
・ 河村市長 「増税せんで」菅内閣に注文(毎日新聞)
・ 松本清張「砂の器」 島根・亀嵩 「おんぼらと」に癒やされて(産経新聞)
・ 国道維持管理は「抜本改善」=省庁版事業仕分けで―国交省など(時事通信)
・ 区分審理で近大ボクシング部2元部員、対象外事件を認める(産経新聞)
・ <蓮舫行政刷新相>白のスーツ姿で初登庁(毎日新聞)
宮崎県内26市町村のうち、感染農家が出ているのは4市5町(終息したえびの市を除く)。県全体の面積の32%に達した。
「終息に向かうと思っていたが、吹き飛んだ。宮崎の牛はどうなってしまうのか」。この日、口蹄疫特有の症状を示す家畜が見つかった西都市。厳重な防疫態勢を敷いていただけに、JA西都職員はショックを隠さない。
西都市は、県が宮崎牛ブランドの復興を託すエース級種牛5頭の避難先。畜舎は今回疑い例が見つかった農場から20キロ以上離れており、感染の可能性は低いとみられる。
日向市は10日の対策本部会議で、11日未明までに発生農場内での埋却地の掘削を終え、60人態勢で349頭の牛の殺処分と埋却をすることを決めた。黒木健二市長は「断腸の思いだが、早急に手を打ちたい」と述べた。発生農家から3キロの場所に農場を持つ日向市和牛改良組合会長の黒木豊喜さん(56)は「ワクチン接種だけは勘弁してほしい」。
宮崎市も11日中に殺処分から埋却までの全作業を終える方針。児玉稔・現地対策副本部長は「ついに来たか、という感じだ。職員も動揺している。今は迅速に処分することだけを考えている」と険しい表情を見せた。
宮崎市の畜産農家で殺処分されたエース級種牛「忠富士」の育ての親、川越忠次さん(52)は「宮崎市は人家が多く、まん延すれば埋却地の確保も難しい。何としても1軒で収まってほしい」と語った。【小原擁、木元六男、阿部周一】
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「自分で作った方が早い」 警部補が交通違反の実況見分調書にうそ記載(産経新聞)
交通違反の実況見分調書にうそを記載したとして、埼玉県警監察官室は28日、虚偽有印公文書作成・同行使の疑いで、飯能署交通課の男性警部補(52)と、当時部下だった男性巡査部長(59)、同地域課の男性巡査長(36)の3人をさいたま地検に書類送検した。警部補と巡査部長は同日付で退職した。
実況見分調書は客観性を保つため、違反を目撃した警察官は作成しないことになっている。同室の調べでは、警部補は平成20年7月、同年4月にあった交通違反の実況見分で、違反を目撃した当事者なのに自ら調書を作成。さらに、立ち会っていないはずの巡査長が立ち会ったなどとする虚偽の内容を調書に記載した。巡査部長は内容を確認しないまま、調書に作成名義人として署名した。
男性警部補は「自分で調書を作った方が早かったのでやってしまった」と話しているという。
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実況見分調書は客観性を保つため、違反を目撃した警察官は作成しないことになっている。同室の調べでは、警部補は平成20年7月、同年4月にあった交通違反の実況見分で、違反を目撃した当事者なのに自ら調書を作成。さらに、立ち会っていないはずの巡査長が立ち会ったなどとする虚偽の内容を調書に記載した。巡査部長は内容を確認しないまま、調書に作成名義人として署名した。
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<豊川市職員自殺控訴審>パワハラ見て心労…原告側逆転勝訴(毎日新聞)
愛知県豊川市職員の堀照伸さん(当時55歳)がうつ病で自殺したのは、自分の部下に対する上司のパワーハラスメントなどが原因だとして、妻しずゑさん(62)が公務災害認定を求めた訴訟の控訴審判決が21日、名古屋高裁であった。高田健一裁判長は「パワハラなどが心理的負担になり、うつ病を発症した」として自殺と公務の因果関係を認定。1審名古屋地裁判決を取り消し、原告側逆転勝訴の判決を言い渡した。
原告代理人の岩井羊一弁護士は「直接ではないパワハラを心的負荷として認めた画期的な判決」と評価した。
判決によると、堀さんは02年4月、豊川市児童課長になったが、難易度の高い仕事が多かった上、自分の部下に対する上司の叱責(しっせき)が心理的負担になり、うつ病を発症。同5月、上司を批判する内容や「もう疲れました。無念」などと記されたメモを残して自殺した。
判決は「上司は大声を出し高圧的に部下を叱責することもあり、パワハラは明らか」と認定。その上で堀さんについて「心理的負担を受けた」とした。
判決後に記者会見したしずゑさんは「無念と言い残した主人に『これでよかった?』と聞けるような判決でうれしい」と話した。【沢田勇、高木香奈】
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原告代理人の岩井羊一弁護士は「直接ではないパワハラを心的負荷として認めた画期的な判決」と評価した。
判決によると、堀さんは02年4月、豊川市児童課長になったが、難易度の高い仕事が多かった上、自分の部下に対する上司の叱責(しっせき)が心理的負担になり、うつ病を発症。同5月、上司を批判する内容や「もう疲れました。無念」などと記されたメモを残して自殺した。
判決は「上司は大声を出し高圧的に部下を叱責することもあり、パワハラは明らか」と認定。その上で堀さんについて「心理的負担を受けた」とした。
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<小沢幹事長>早ければ一両日中にも事情聴取か 東京地検(毎日新聞)
小沢一郎・民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡る政治資金規正法違反事件で、小沢氏側は14日、改めて要請されていた事情聴取に応じる意向を東京地検特捜部に伝えた。小沢氏側の関係者が明らかにした。早ければ一両日中にも聴取を行う方向で調整している模様だ。
関係者によると、14日午前、小沢氏本人の意思を確認したうえで特捜部に「聴取には前向きに応じる」と伝えた。小沢氏側は複数の候補日を提示する一方、聴取の内容や所要時間を事前に伝えるなどの条件を特捜部に示したという。
小沢氏側は「条件がクリアされれば速やかに日程が決まる」としており、早ければこの週末から週明けにかけて聴取が行われる可能性が出てきた。小沢氏が応じれば、この事件での特捜部による聴取は3度目となる。【三木幸治、鈴木一生、山本将克】
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関係者によると、14日午前、小沢氏本人の意思を確認したうえで特捜部に「聴取には前向きに応じる」と伝えた。小沢氏側は複数の候補日を提示する一方、聴取の内容や所要時間を事前に伝えるなどの条件を特捜部に示したという。
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介護マンション契約金詐取 失意の被害者「よいこと尽くしだと思ったのに」(産経新聞)
「死ぬまで介護してくれ、葬儀や墓の世話もしてくれる。よいこと尽くしだと思ったのだが…」。神奈川県内に住む被害者の男性(69)は、「サン・オリーブ」への入居契約を決めたときのことを思い返し、こうつぶやいた。
理想の住居を示され、巧みな手口で勧誘された。
「2、3階はふさがっているが、1階の角部屋なら空いている」「急がなければ埋まってしまう」
せかされた男性は735万円を支払った。しかし、希望はかなわず、なけなしの老後資金を失っただけだった。
同県平塚市の女性(90)は平成20年2月に契約。「(20年)4月末には入居できる」との言葉を信じ、750万円を支払った。この際、「介護サービスを受けながら暮らせる」「庭には植物を植えられる」「一般的な老人ホームにある荷物の持ち込み制限はない」など“自由な暮らし”を説明された。
自立した生活を送りたいが、いざというときに気にかけてもらいたい。多くの高齢者が望む、こうした希望が提示され、裏切られた。
県には被害者からの相談が相次いでいる。「親族が契約し、(入居のため)グループホームを退去したが、行き場を失ったショックで入院してしまった」という深刻な訴えのほか、「安心して過ごせる施設に入居したかった」と将来への不安を切々と話す人もいる。
高齢者ゆえの回復できない被害も広がっている。契約を結んだ5人の損害賠償請求などを担当した弁護士によると、このうち2人がすでに死亡。1人は認知症が進んでいるという。
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同県平塚市の女性(90)は平成20年2月に契約。「(20年)4月末には入居できる」との言葉を信じ、750万円を支払った。この際、「介護サービスを受けながら暮らせる」「庭には植物を植えられる」「一般的な老人ホームにある荷物の持ち込み制限はない」など“自由な暮らし”を説明された。
自立した生活を送りたいが、いざというときに気にかけてもらいたい。多くの高齢者が望む、こうした希望が提示され、裏切られた。
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裁判員制度「合憲」 初判断「国民参加は許容」 東京高裁(産経新聞)
裁判員制度の違憲性が争点となった中国籍の男の控訴審判決が22日、東京高裁で開かれた。小西秀宣裁判長は「憲法は下級裁判所の構成を直接定めておらず、裁判官以外の者を構成員とすることは禁じていない」として、裁判員制度を合憲と判断した。その上で、懲役18年とした1審宇都宮地裁判決を支持、被告の控訴を棄却した。裁判員制度を合憲とした判断は初とみられる。
裁判員制度の違憲性が争点とされたのは金銭トラブルから知人の中国人男性=当時(30)=を刺殺したとして殺人罪などに問われた中国籍の整体師、付佳男(フ・ジャナン)被告(26)の控訴審。弁護側は「憲法は司法権の担い手として裁判官のみを予想して設計されている。裁判員制度は、憲法の予想しない制度で、被告の裁判を受ける権利が侵害されている」として裁判員裁判の元で判決が言い渡された1審の違憲性を指摘していた。
小西裁判長は、「憲法が裁判官を下級裁判所の基本的な構成員に想定しているのは明らかだが、構成については直接定めていない」と指摘。旧憲法の「裁判官の裁判を受ける権利」と異なり、現行の憲法が「裁判所における裁判を受ける権利」を保障していることから、「国民の参加した裁判を許容し、排除するものではなかったことが明らかである」とした。
その上で、「公平な裁判を行える裁判員を確保するよう、資格要件などが規定され、適正な手続きで裁判が行われており、被告の権利を害してはいない。(参加を義務づけられた)国民の負担も必要最小限のものと評価できる」などと結論づけた。
・ 石原知事の提訴検討=「帰化」発言めぐり−社民・福島党首(時事通信)
・ 参院選公約に「国民安心税」=自民(時事通信)
・ <長崎県美術館>日本初、エル・グレコ「聖母戴冠」の展示を延期 火山噴火の影響で(毎日新聞)
・ 【チャイム】東大門670年ぶりに開門 解体修理のため(産経新聞)
・ 谷垣氏「首相は発言が軽い」 党首討論(産経新聞)
裁判員制度の違憲性が争点とされたのは金銭トラブルから知人の中国人男性=当時(30)=を刺殺したとして殺人罪などに問われた中国籍の整体師、付佳男(フ・ジャナン)被告(26)の控訴審。弁護側は「憲法は司法権の担い手として裁判官のみを予想して設計されている。裁判員制度は、憲法の予想しない制度で、被告の裁判を受ける権利が侵害されている」として裁判員裁判の元で判決が言い渡された1審の違憲性を指摘していた。
小西裁判長は、「憲法が裁判官を下級裁判所の基本的な構成員に想定しているのは明らかだが、構成については直接定めていない」と指摘。旧憲法の「裁判官の裁判を受ける権利」と異なり、現行の憲法が「裁判所における裁判を受ける権利」を保障していることから、「国民の参加した裁判を許容し、排除するものではなかったことが明らかである」とした。
その上で、「公平な裁判を行える裁判員を確保するよう、資格要件などが規定され、適正な手続きで裁判が行われており、被告の権利を害してはいない。(参加を義務づけられた)国民の負担も必要最小限のものと評価できる」などと結論づけた。
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たちあがれ日本 略称は「日本」(毎日新聞)
新党「たちあがれ日本」は13日、7月の参院選比例代表で使う略称を「日本」とする方針を決めた。昨年の衆院選比例代表では新党日本が「日本」を使用しており、今回の参院選で両党が同じ略称を使えば、獲得票数に応じて案分される。「日本」票がすべて新党日本の得票になるのを防ぐ狙いがある。総務省によると同一略称は法的に問題ないが、前例はない。
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火山灰拡散26カ国影響 東欧やロシアにも(産経新聞)
【ロンドン=木村正人】アイスランドの火山噴火による火山灰は17日未明までに東欧、ロシア上空に達し、ロイター通信によるとロシアやエジプトを含む26カ国で空港閉鎖や欠航などの影響が出た。民間航空管制機関協会(本部アムステルダム)は「混乱は数日続く恐れがある」とし、経済的損失は「数億ドル(数百億円)以上」(米メディア)との懸念も広がる。
英BBC放送によると、17日未明の時点ですべての空港が閉鎖されたのはフィンランド、オランダなど10カ国。英国やドイツ、フランス、イタリアなど10カ国でも主要空港が閉鎖され、2日間で2万6千便以上が欠航した。英航空会社ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)は17日も全便を欠航。米デルタ航空が北米便を欠航するなど混乱は続いている。
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川崎の双子死亡、出火元でライター発見(読売新聞)
川崎市中原区で8日に3歳の双子の兄弟が死亡したマンション火災で、火元とみられる洋室のベッド脇でライターが見つかったことが、捜査関係者への取材でわかった。
中原署は、何らかの理由でライターが着火したのが原因だった可能性があるとみて調べている。
捜査関係者によると、同署と市消防局が9日に行った1階の会社員折原道宗さん(38)方の実況見分で、ベランダに面した洋室のベッド脇でカーペットが丸く焦げ、使い捨てライター1個が見つかった。隣接する居間にも複数のライターがあった。
死亡した次男一輝ちゃん(3)はベランダと反対側の玄関前の廊下、三男義輝ちゃん(3)は居間で倒れていた。折原さんの母つる子さん(62)は玄関脇の洋室で倒れて重体。
折原さんは喫煙しているが、子供たちがいたずらしないようにライターを隠していたという。
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死亡した次男一輝ちゃん(3)はベランダと反対側の玄関前の廊下、三男義輝ちゃん(3)は居間で倒れていた。折原さんの母つる子さん(62)は玄関脇の洋室で倒れて重体。
折原さんは喫煙しているが、子供たちがいたずらしないようにライターを隠していたという。
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<毒ぶどう酒事件>惨劇の公民館すでに撤去(毎日新聞)
集落は田んぼや茶畑に囲まれた静かな山すそにある。「名張毒ぶどう酒事件」から丸49年となる今年3月28日、事件の舞台となった三重県名張市の葛尾地区を訪れた。市中心部から北西に約5キロ。桜並木はまだつぼみのままだった。「あまり思い出したくないね」。事件について、地元の住民は言葉少なだ。現場は当時と一変、外部からの訪問者に惨劇を思い起こさせる痕跡は見当たらなかった。【伊藤一郎】
急な坂道を歩いて上ると目の前にゲートボール場があった。事件現場だった公民館は小高い丘の上にあったが、建物はかなり前に取り壊されたという。
敷地の片隅に大きなムクの老木がそびえ、枝の下に黒い種が落ちていた。「ムクの種は羽子板の羽根の重りになる。この木は、事件の真相を見ていたかもしれないな」。近くにいた地元の区長、福岡芳成さん(61)が話してくれた。
道を挟んで南側の広場の集合墓地に、犠牲者を慰霊する背の高い仏像がまるで多くの墓を見守るように立っている。その仏像の顔の向きと反対側。今は畑となっている場所に、かつて奥西勝死刑囚(84)の家の墓だけがポツンと離れてあった。今は家族の手で別の場所に移されたという。
同じ日に現地を訪れていた奥西死刑囚を支援するグループが、仏像の前に供養の花束を供えた。福岡さんはその様子を遠目に見ながらいらだつように話した。「遺体解剖が行われた場所を踏んでいることも知らないのに、事件の何が分かる」
墓地がある丘の下には以前、奥西死刑囚の家があった。その家から現場までは、歩いて1分足らず。隣には、奥西死刑囚が公民館に運ぶぶどう酒を取りに行った当時の地区会長の家が今もある。数分で歩き回ることのできる範囲内で、日本中を騒がせた事件が起きたとは想像できない。
近所の女性に話を聞いた。「事件の日は毎年、地域で集まって供養していたが、十三回忌でやめてしまった」。別の女性は「事件後は公民館に寄るのも怖かった」という。「忙しいから、そんな話しゃべっちゃおれん」。ある男性は目をそらし問いかけを遮った。記者が来なければ、この日が事件当日だと思い出すこともないのにと感じているようだった。
県境をまたぎ、奈良県側に出ると、視界が広がった。眼下には奥西死刑囚が「農薬の瓶を捨てた」と「自白」した名張川が見えた。
最高裁は5日付の決定で、混入農薬について疑問を示し名古屋高裁に審理を差し戻した。発生から半世紀近く。惨劇の痕跡は消えても、住民たちは事件の記憶をぬぐい去ることはできない。
【ことば】名張毒ぶどう酒事件
61年3月28日、三重県名張市葛尾の公民館で開かれた住民の懇親会で、農薬入りぶどう酒を飲んだ女性5人が死亡、12人が重軽傷を負った。「妻と愛人との三角関係を清算しようとした」と自供した奥西死刑囚(当時35歳)が殺人容疑などで逮捕されたが、起訴直前に全面否認に転じた。1審津地裁は無罪、2審名古屋高裁は逆転死刑、最高裁(72年)で死刑が確定。高裁は第7次再審請求審(05年)で再審開始を決めたが、異議審で取り消した。
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急な坂道を歩いて上ると目の前にゲートボール場があった。事件現場だった公民館は小高い丘の上にあったが、建物はかなり前に取り壊されたという。
敷地の片隅に大きなムクの老木がそびえ、枝の下に黒い種が落ちていた。「ムクの種は羽子板の羽根の重りになる。この木は、事件の真相を見ていたかもしれないな」。近くにいた地元の区長、福岡芳成さん(61)が話してくれた。
道を挟んで南側の広場の集合墓地に、犠牲者を慰霊する背の高い仏像がまるで多くの墓を見守るように立っている。その仏像の顔の向きと反対側。今は畑となっている場所に、かつて奥西勝死刑囚(84)の家の墓だけがポツンと離れてあった。今は家族の手で別の場所に移されたという。
同じ日に現地を訪れていた奥西死刑囚を支援するグループが、仏像の前に供養の花束を供えた。福岡さんはその様子を遠目に見ながらいらだつように話した。「遺体解剖が行われた場所を踏んでいることも知らないのに、事件の何が分かる」
墓地がある丘の下には以前、奥西死刑囚の家があった。その家から現場までは、歩いて1分足らず。隣には、奥西死刑囚が公民館に運ぶぶどう酒を取りに行った当時の地区会長の家が今もある。数分で歩き回ることのできる範囲内で、日本中を騒がせた事件が起きたとは想像できない。
近所の女性に話を聞いた。「事件の日は毎年、地域で集まって供養していたが、十三回忌でやめてしまった」。別の女性は「事件後は公民館に寄るのも怖かった」という。「忙しいから、そんな話しゃべっちゃおれん」。ある男性は目をそらし問いかけを遮った。記者が来なければ、この日が事件当日だと思い出すこともないのにと感じているようだった。
県境をまたぎ、奈良県側に出ると、視界が広がった。眼下には奥西死刑囚が「農薬の瓶を捨てた」と「自白」した名張川が見えた。
最高裁は5日付の決定で、混入農薬について疑問を示し名古屋高裁に審理を差し戻した。発生から半世紀近く。惨劇の痕跡は消えても、住民たちは事件の記憶をぬぐい去ることはできない。
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