復興へ体制見直し 独り身高齢者に温か、街のアイドル「駐在さん」(産経新聞)

 阪神大震災に見舞われた兵庫県で、身寄りのない高齢者を孤独死から守るため、兵庫県警が全国でも珍しい「都市型駐在所」を災害復興住宅内に設置し、安全確保だけでなく、高齢者と触れ合い、心のすき間を満たしている。県警は復興住宅以外の都市部にも同様の駐在所設置も視野に、体制の見直しを始めている。

 ■地域とけ込み

 「寒いのにお勤めお疲れさん。また後で顔出すよ」。

 約1900世帯、約3500人が暮らす災害復興住宅「HAT神戸灘の浜公営住宅」(神戸市灘区)。7番棟1階の駐在所に勤務する巡査部長の古味健二さん(34)に、入居者が気軽に声をかける。

 この復興住宅では65歳以上の高齢者が4割を超える。古味さんは平成18年3月に赴任後、すぐに一軒一軒を回りながら、高齢者の病歴や生活習慣まで、頭にたたき込んだ。「手が届かなくて…」、行った先で蛍光灯の交換を頼まれることもあった。

 「駐在さん」は家族ごと地域にとけ込む。赴任と同時に誕生した次男の汰樹君は、今や入居者のアイドルだ。「地域に根差して、人の『縁』を大切にすることで、住民の安全を守りたいんです」と古味さん。こうした交流が入居者との距離を縮めている。

 ■お隣さん協力

 14棟に約1200世帯が生活するキャナルタウン復興住宅(兵庫区)に設けられた駐在所に勤務する巡査部長の土谷達也さん(40)には、忘れられない出来事がある。昨夏のことだ。

 「あそこのおじいちゃんの姿を最近見ない…」。顔なじみの高齢女性の言葉をきっかけに部屋に急行すると、住人の70代男性が室内にうつぶせで倒れていた。「すぐ救急車を」。男性は衰弱していたが、病院へ運ばれ大事には至らなかった。

 男性は独り暮らし。隣の物音が聞こえる昔の住宅や仮設住宅と違い、コンクリートの壁と鉄のドアでしきられた住宅は、「孤独死」の危険性をはらむ。

 独居の高齢者は、把握することすら簡単ではない。しかし「駐在所の核は地域の巡回。『お隣さん』とも協力して住民を支えたい」と話す土谷さんの表情に迷いはない。

 ■「常設」視野に

 県警が震災復興住宅に設けた3カ所の「都市型駐在所」はあくまでも特例措置だ。しかしその効果と、一方でどんどん高齢化が進む社会に、県警は交番や駐在所など警察官を配置する体制の見直しに乗り出しており、復興住宅以外の都市部への「駐在所」設置も視野に入れている。都市部でも巡回連絡を強化することで、孤独死防止などの役割を果たせるからだ。

 警察庁によると、全国の交番の数が平成19年以降微増しているのに対し、駐在所は昨年4月までの2年間で約200カ所も減少、6926カ所となっているが、一方で、このような新たな役割も見直されてきそうだ。

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